本物の「ありたい姿」を描く経営者は、本当にやりたいと思える事業で会社を永続させる意味を理解している

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「なぜそこまで、ありたい姿に拘るのですか?いろんなことに挑戦して、その中で成果が出るというビジネスもあるのではないでしょうか?理想論やあるべき論に拘っていては、実際の経営はなかなか前に進めない気がするのですが・・・」

先日、とある会合にて名刺交換させて頂いた際に頂いたご質問です。わずかな時間で全てをお伝えするということは難しいものですが、簡単にご理解頂けないことだからこそ大切なことでもあると思い、丁寧にお伝えした次第です。

当コラムでも再三にわたり、私は「ありたい姿」をまず明確にすることに拘るべきだと発信しております。今回はその理由にフォーカスしてお伝えしたいと思います。

 

事業は継続こそが最大の価値である

経営経験の長い経営者の方には釈迦に説法な話で恐縮ですが、会社経営で最も大事なことは何でしょうか?ヒット商品・サービスの提供でしょうか?革新的なビジネスモデルでしょうか?規模を大きくし、利益率を高めることでしょうか?

革新的なビジネスモデルは競合の参入障壁を高め、場合によっては参入を事実上無効化できる可能性もあります。よって経営者であれば誰もが欲しいと思うところですが、もちろん簡単ではありません。先見性を持つご自身の卓越した経験や能力、凄まじいほどの努力に加えて、最終的には運を味方につける必要があります。

そのような高いハードルに、誰もが挑戦できるものではありません。特に社歴のある会社の経営者であればあるほど、ご自身の代で潰すことのないよう、本音としては健全な保守指向を持たれることと思います。

そして規模を大きくすることについてですが、確かに最近はそれほど時間を必要としなくなってきました。強力なビジネスモデルを構築し、フリーミアムモデルから入ってネットワーク効果を生み出すための先行投資を支えるファイナンスが実施できれば、短期間に知名度を高め、規模を大きくすることが可能な時代になったからです。

ですが、これらは最も大切なことではないと思います。どちらかといえば、会社を大きくするための実現プロセスです。会社は大きければ大きいほどよいという前提に立った考え方です。

会社が規模を大きくすることを目的化すると、どれくらい大きくなりたいのか?という問題が生じます。例えば売上を数年で数百億にした後は、一体どうしたいのでしょうか?

また会社の規模を大きくするための大義名分のようなビジョンを掲げるのでしょうか?そうやって、ご自身の本音に嘘をつき、短期的思考で虚栄心や承認欲求にばかり囚われた経営の先には、一体何が待っているのでしょうか?おそらく、ろくなことがないでしょう。

よって私は、会社経営で最も大事なことは事業の継続だと思います。事業が継続するとは、長きにわたり、お客様から評価を頂き続けているということだからです。

 

無茶な急成長よりも地道な中成長が長寿の秘訣

例えばヒット商品は経営者にとって有り難い存在です。高収益をもたらし、また知名度も格段に上がります。ですが、その後はどうなるのでしょうか?そのヒット商品は、定番商品になってくれれば良いですが、そうならない場合は、どうなるのでしょうか?

また、ヒット商品を連発させられる実現可能性は、どれ程なのでしょうか?その場合、次の商品コンセプトは何を軸として考えるのでしょうか?

軸となるものがない中で、闇雲にヒット商品を産み出そうとする活動ほど苦しいことはありません。かつて一斉を風靡したソーシャルゲームの会社はまさにこのパターンです。今や浮き沈みの激しい業界と言われます。一時的には話題となりますが、結局は経営が安定しないわけです。

よって当初は苦しくとも、軸を持ち、そこに常に立ち戻りながら地道に事業を軌道に乗せていく方法でしか、永続する企業というものは創造できないのです。急がば回れです。その軸となる部分こそが、経営者が描く「ありたい姿」なのです。

 

「ありたいのか?」を描くと、経営者の視界がクリアになる

先日、現在コンサルティング中の経営者の方から、深夜に突然のお電話を頂きました。「何か経営上のトラブルが発生したのか?」と思い、すぐ電話に出たところ、「角野さん、ついに見つかりました!」と非常に興奮した状態でおっしゃるわけです。

「何が見つかったのですか?」とお聞きすると、「ありたい姿ですよ、ありたい姿!これです!!」と、約10分ほど、堰を切ったように話して下さいました。ワクワクした雰囲気が電話からも伝わるくらい、興奮されていました。

これです。これこそがまさに、中小企業経営が劇的に変わるスタートラインなのです。この方は、私とのセッションを開始してから毎日、「ありたい姿」のことを考えてこられました。現業とのギャップ、修羅場を乗り越えるために身につけた論理的な思考とのジレンマ、加えて慎重なご自身の性格などから、当初は本当に苦しそうでした。

ですが、毎回のセッションを重ねるたびに経営者としての建前を横に置き、本音を語り、直近では深層の本音にまで言及されるようになっていました。そういう変化を感じ取っていたため、もうすぐ「ありたい姿」に気づかれるだろうと、実は思っていました。

ここまでたどり着けば、あとはトリクルダウン的に経営は革新に向かっていきます。どういうことかといえば、この「ありたい姿」をベースにビジョンやミッションが固まれば、自ずと施策と実行計画が決まります。そして動き始めます。もちろん簡単ではありませんが、経営経験が長く、修羅場を経験されている中小企業経営者であれば、実はそれほど難しいことはありません。

想定されるお客様像や営業活動も、経営計画やファイナンスも、全てはこの「ありたい姿」がイメージできたところからスタートするものだからです。

おそらくこれからこの経営者の方は、ワクワクしながら事業を革新されていくことでしょう。私が当コンサルティングを実施している中で、最もやりがいを感じるのは、こういった時間を共有させて頂き、お客様が何かを掴まれる瞬間に立ち会えることなのです。

だからこそ、これからもこの「ありたい姿」を経営者ご自身の中から探し出し、それをビジョン・ミッションに落とし込み、経営を劇的に革新していくコンサルティングに拘って取り組んでいこうと思っています。

 

あなたは、本当にやりたい事業で会社を永続させようと思っていますか?