花畑牧場・田中義剛さんの経営に学ぶ!ビジネスの逆境で這い上がれる経営者の姿勢とは?

投稿日:  最終更新日:

突然ですが、「花畑牧場の生キャラメル」をご存知でしょうか?

 

関連画像

約10年前にタレントの田中義剛さんが経営する花畑牧場が作り、大ヒットとなったことで、ご記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。

その後ブームが去り、あまりメディアで見かけることはなかったのですが、先日TBS系「坂上&指原のつぶれない店」にゲスト出演され、ビジネスの現状を語っていらっしゃいました。

田中社長はどのような10年間を過ごし、今、何を考え、未来を描いているのでしょうか?

 

牧場経営という目的実現のためにタレントという手段を選択

ご存知の方も多いとは思いますが、田中社長は元々歌手であり、ラジオのパーソナリティーとして活動を開始します。そして徐々に活動の拠点を東京に移し、バラエティ番組などを中心に全国的な知名度を得ていきます。

ですが35歳の時に、突如として牧場経営をスタートします。35歳といえば、1990年代前半。ちょうど日本はバブルが崩壊した直後です。決して人気に陰りがあったわけでもないこの時期に、タレントが牧場経営を始めたのでしょうか?そこには田中社長のルーツがあるようです。

花畑牧場のサイトには、下記のように書かれています。

 

私が牧場を作る事を志したのは十代の頃にさかのぼります。

16歳の春、青森から津軽海峡を渡って北海道を旅しました。日高の牧場でお世話になった事が、その後忘れられない思い出となり、「いつか自分も牧場をやってみたい」と思うようになりました。

高校を卒業して、憧れの北海道にある酪農学園大学に進学することになりました。そこでは「肉牛研究会」というサークルに所属し、牛の飼育を勉強して、益々、北海道で「自分の牧場を持ちたい」という思いが募りました。

大学卒業が間近に迫った21歳の頃、大学の教授に将来の夢について相談した時、初めて“牧場を作るには何億もの多額の資金が必要である”という事実を聞かされ愕然としました。

「何をやって、その資金を、稼ごうか」と途方にくれていた時、STV(札幌テレビ)の深夜放送から松山千春さんのなまったしゃべりと“大空と大地の中で”が流れてきました。

「そうか田舎出身でも、ギター1本でやればできるんだ」

私は決心しました。ダメもとで芸能界で一発勝負をかけよう。そして、いつかは牧場をやろう。

その後はひたすら夢の為にテレビでの仕事に邁進する日々が続きました。念願かなってようやく牧場を拓くことが出来たのが36歳の時です。

十勝・中札内村に牧場をつくり、そこを「花畑牧場」と名づけました。憧れのニュージーランドのガーデンファームからこの名前を思いつきました。牧場の敷地は23ヘクタール、7万坪(東京ドーム5個分)、そこにジャージー牛1頭を飼う事から始めました。

今では、ようやく、チーズ生産、生キャラメルのヒットで、『花畑牧場』が、認知して頂けるようになりました。

 

田中社長は、思いつきでも何でもなく、16歳の頃から牧場を持ちたいと思っていたのです。もちろん、その頃から明確なビジョンがあったわけではないと思います。おそらくは漠然とした思いからスタートしたのでしょう。そしてそのためには多額の資金が必要になることを知ります。

そして今の自分にはそれだけの資金を集めることができないという現実を知ります。そこでタレントとしての道を目指し、資金を貯めて36歳で念願の牧場経営をスタートしたわけです。

文章にすれば、たったこれだけのことかもしれません。ですが本当にやりたいことを時間をかけて準備し、有言実行している点が、本当に素晴らしいと思います。

特に田中社長は、タレントとして売れている時期に起業しています。考えてみてください。タレントとして知名度が上がれば、チヤホヤされます。ギャラも上がることでしょう。普通は、現状に満足しがちです。

そこをあえて一歩踏み出し、16歳の頃に描いた「牧場経営をしたい」というビジョン、つまり”ありたい姿”を実現させようと、動いたのです。

 

好きなことをビジネスにして継続することの大切さ

こうして牧場経営をスタートさせた田中社長ですが、当然ながら最初からうまくいったわけではないようです。

最初の頃は失敗の連続で、借金は4億円まで膨れ上がったそうです。牧場経営のど素人だったと思いますから、後から考えれば、失敗するべくして失敗したのかもしれません。

自己破産も覚悟しなければならない状況にまで追い込まれたそうですが、田中社長は諦めません。追い詰められた田中社長は、自分の特長や強みを徹底的に活かします。

田中社長の場合、牧場経営者でもありタレントでもあること(ご自身の著書タイトルには「半農半芸」とああるくらいです)に目をつけ、メディアへの露出を増やし、芸能人仲間に商品を試してもらったりと、とにかくガムシャラに花畑牧場の商品を宣伝したそうです。

SNSが世の中に広がる前ですから、テレビなどのメディアからブログ経由で発信されていたようですが、こうした地道な取り組みのおかげで経営を立て直したそうです。

ここで大切なことは、”失敗は(そこで諦めずにあらゆる手を尽くして継続してこそ)成功のもと” だということ。

経営者であっても、個人事業主であっても、ご自身の事業が苦しい時というのは必ずあります。仮に今は上手くいっていても、いずれ苦しくなる時というのは訪れます。

そういう時に踏ん張れたり、事態を打開できるのは、続けられる何かがあるからです。それはその事業が”好き”であったり、 ”志あるテーマ” だったりと、人それぞれだと思います。

田中社長はとにかく、牧場経営が好きなようです。楽しくて仕方がないようです。単に金儲けのためだけであれば、借金4億円という苦しい状況に追い込まれた際に、必死になって経営を立て直そうとは思えなかったと思います。

タレントの方でも、不動産などの財テクや飲食店経営に失敗し、多額の借金を返済するためにタレント活動を活発化しているという話がよくありますよね。もし仮に田中社長が、金儲けだけのために牧場経営をしていたのであれば、タレント業に専念し、借金を返済する方法もあったと思います。

ではなぜ、そうしなかったのか?やはり牧場経営者として生きていくことが田中社長にとっての”ありたい姿”だったから、ではないでしょうか。

こうして生キャラメルブームに乗る直前の2007年で3億4000万円くらいだった花畑牧場の年商は、2009年には140億円を超え、従業員数も一気に1500名まで増えます。絵に描いたような急成長となるのです。

 

好きなことをビジネスにして探求すれば、逆境下でも続々とアイデアが生まれてくる

ですがブームというものは長続きしません。生キャラメルブームが去った2010年には、売上が50億円となります。たった1年で、売上は約1/3まで急降下です。その結果、2010年から2011年にかけて工場の閉鎖や店舗を閉店したりと、経営的には厳しい時代を迎えます。

ですがこの冬の時代にこそ、現在の成功に結びつくアイデアがいくつも生まれたようです。

例えば以前のように、生キャラメルというブームに乗って多店舗展開するようなB to Cビジネスだけではなく、コンビニ向け商材や量販店向け商材などB to Bにも注力し始めます。事業ポートフォリオを組み直し、収益安定化を図ったのです。

またこの時期に、ラクレットチーズと出会います。

「raclette cheese」の画像検索結果

その溶ける際のシズル感に、ブームの到来を直感したそうです。ラクレットチーズは、そのシズル感によりインスタ映えすることや目新しさなどもあり、昨年あたりから日本でも非常に流行しています。

そして驚くべきことは、このラクレットチーズを輸入に頼らず、北海道の自社工場で生産しようとしたことです。この経営判断は、ヒト・モノ・カネ全てにおいて、決して簡単な意思決定ではなかったと思います。

ですが田中社長は逆境を乗り越えるべく試行錯誤を重ね、とうとう日本人向けラクレットチーズの開発に成功します。今や国内シェアは驚異の90%、花畑牧場はラクレットチーズだけの売上でなんと約10億円もあるそうです。

また、ラクレットチーズの売り方に関しては、ネスカフェの ”ネスレマシン” で有名となった、サブスクリプションモデルを採用します。

ラクレットチーズには専用のオーブンが必要なわけですが、これを敢えて花畑牧場が自社開発し、各飲食店に無償提供する代わりに、花畑牧場のラクレットチーズを定期購入して頂くというビジネスモデルです。

Big dsc08574

これまでラクレットチーズの専用オーブンは海外製しかなく、その価格も10万円以上するものばかり。日本の飲食店が導入するにはかなりのコスト負担だったそうですから、双方にメリットがあるわけです。

この他にも、新たなチーズの自社生産を手がけたり、タイへの進出を皮切りにアジア市場を見据えた大胆な戦略など、様々な事業構想を持つ田中社長。こうした田中社長の商才を、番組後半では非常に持ち上げていました。そしてMCからは、個人的なお金の使い方についての質問がありました。

それに対し、田中社長は、こうおっしゃっていました。

(事業の成功で得たお金で)個人的に買いたいと思うものもないし、60歳にもなるとやりたいと思うこともなくなってくるでしょ。本当にやりたいことで楽しいことが仕事だから、(儲けたお金で個人的に何かを買おうなどとは)考えない。

この考え方が非常に大事だと思います。

経営者ですから、商売でお金を稼ぐことは大事です。ですがお金を稼ぐこと自体を目的化すると、世の中に価値を生み続けることが難しくなります。

それよりも、ご自身が本当にやりたい事業や、苦しい時でも楽しいと思える事業を見つけ出し、その事業が世の中に価値を生むよう、創意工夫し続ける姿勢こそが本当に大切だと、私は思います。

 

貴方はお金を稼ぐことが目的ではなく、本当にやりたいこと(事業)や楽しいと思えること(事業)に、全力で取り組んでいますか?